第22回「桃陰文化フォーラム」報告
第22回「桃陰文化フオーラム」 ご報告
1月29日(土)午前10時から第22回桃陰文化フォーラム、大阪府立大学准教授山東 功先生による「国語、音楽、そして体育」と題する講演会が天王寺高校視聴覚教室で開かれました。在校生34名、保護者・一般の方も含め60数名の参加でした。
先生は本校41期生ですが国語と音楽以外の教科は苦手、特に体育が大の苦手でいつも「なぜ高等学校に体育という教科があるのだろう。」と在学中いつも思っていたというお話から始められ、明治五年の小学校令の発布と明治三十三年の新小学校令で国語という教科が成立したこと、音楽教育にとって伊澤修二の存在が大きかったこと、総じて「国語・音楽・体育」という教科は近代化の装置であったこと、現在でも教育の目標とされる「知育・徳育・体育」は、国語・唱歌・体操に該当すること、学校教育が身体の規律化をもたらしたことを述べられ、最後に校風・校訓も身体化と関連があり、天高の「質実剛健」や校技としての「ラグビー」も鍛錬主義から来ていること、ご自分の非常勤として勤務された体験から得たこととして、天高は公立の雄としてこれからも「学習権の保証と機会均等」が求められており「秀才を誇らず、野人を誇る。名門を言わず実力を問う。明朗にして、適度に楽しむことを忘れない。」気構えを大切に前進せよと在校生に力強いメッセージを贈ってくださいました。
途中、唱歌の例として「黄塵はるか」や北野の校歌、今はほとんど聞く機会のない小野十三郎作詞の「天高八十年」がテープ・CDで流され、見て楽しい、聞いて楽しい講演会でした。
2時間びっしり、マイクなしで情熱をこめときにユーモラスにお話しくださいました山東先生にあつくお礼を申し上げます。ありがとうございました。
<参加者の声>(一部抜粋)
- 講談のような軽妙な語り口で始まったお話が、私の背筋を正す名説法に終わりました。今日の話には本当に感動しました。今後の生き方が変わりそうです。「一天高生」として頑張らねばならんと改めて奮起いたします。
- 久しぶりに学生になったような気がしました。色々な音楽を聴かせていただけてよかったです。天高のお話、いつまでも愛校精神のある先輩をもち、子供達は幸せだと思います。
- 天高は課題が多すぎると、今まで僕は思っていました。しかし、目に見えないところで先生方はそういうところまで考えてくださっていると思うと、もっと天高生として勉強も部活も悔いのないよう精一杯頑張りたいです。ありがとうございました。
- 国語、音楽、体育という題から、どのような話が聞けるのかと、とても楽しみにしていました。今回は本当に天高生として大切にしたいものを考えることができてよかったです。ありがとうございました。
- あまり関係がなさそうな国語、音楽、体育の三教科が、あらゆる方向から見たり、歴史をさかのぼったりすると、声、耳、姿勢、歩行や語呂あわせ、体で覚えるなどの点でたくさんの共通点があることがわかっておもしろかった。ただ暗記するだけでなく、その内容のことを考えることの大切さを知った。「天高八十年」はすごかった。
- 今まで、教科がある意味に疑問を持ったことが何度かありましたが、それぞれの教科にこれほどまで深い背景があったことに驚きました。天高に対する思いを聞いて、天高を誇りに思いました。
- 私たちは、普段学校で色々な教科を学びます。今回の桃陰文化フォーラムで、それぞれの教科を学ぶ意味を考えることができました。私たちが今学んでいることは、明治の人たちが一生懸命取捨選択し、まとめ上げられたものであると実感することができました。私は、音楽や工芸などの芸術科目が好きで、体育は苦手ですけど、これからはどの教科にも同じくらい真剣にやろうと思います。
- 「黄塵はるか」が日本の唱歌の歴史上の特徴を明らかに受け継いでいるのに驚きました。
- 「国語」「音楽」「体育」にどんな共通点があるのだろうと思っていたけど、ラジオ体操の音楽など、気にもしていなかった共通点に気づけた。暗記するときにそのことだけを覚えるのではなく、関係あるものにも目を向けて覚えることで初めて意味を持つというのを聞いて、今までの勉強の仕方を見直そうと思った。
- 小学校で先生しています。「身体化」された教育の意味がわかりました。教科の成立から、その意味、歴史をわかりやすく説明していただき、知らないことがたくさんあり、とても興味深くきくことができました。また、天王寺中学の事もお話の中にあり、楽しく天王寺高校の気風も伝わってまいりました。私の子供がこの催しに参加できていないのが残念です。家で話します。本日はありがとうございました。
- ご講演ありがとうございました。私は卒業生で現役生の保護者です。小学校教諭をしています。日本における学校教育の創設期、教育の成立とその背景など、たいへん興味深いお話で、あっという間の2時間でした。貴重な資料や音楽と共に懐かしいキーワード(天高体操や先生方のお名前etc.)が随所にあり、「桃陰文化フォーラム」ならではの講演でした。
- 無意識にされていた教育、子供達に受けさせている教育の意味を初めて認識させていただきました。幅広い内容を天高での体験に置き換えて、ユーモラスにリズミカルな口調で話して頂き、あきのこない楽しい講演会になりました。ありがとうございました。
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