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平成20年2月11日
第13回「桃陰文化フォーラム」報告

第13回「桃陰文化フオーラム」 ご報告

桃陰文化フオーラム事務局

さる2月2日(土)午後2時から、第13回「桃陰文化フオーラム」〜<東大先端研教授お二人によるコラボレーション講演会>が多目的ホールで開かれました。当日はお二人とも東京からお越しくださり、集まった生徒・保護者・澤先生と同窓の28期の卒業生等110名ほどの聴衆を前に、それぞれのご専門の分野についてOHPやプロジェクターをお使いになりながら、分かりやすくお話しくださいました。
まず、東京大学先端科学技術研究センター所長 宮野健次郎先生が登壇され、「サイエンスが分かるってどういうこと?」と題してご自身の小学生時代、鶴亀算や植木算などが分からなかったが中学で方程式を用いたらきれいに解けたことから、それは手順が分からなかったのだと分かったこと、大学入学後の『力学』の講義で先生から「摩擦」という事象についても実はよく分かっていないことが多いと明確に言われて「分かる」とは何かが分かったような気がしたというお話を導入部に、ご専門の「光」の性質についてアインシュタインの「相対性理論」や「量子力学」の平明なご説明などもまじえられながら、実験結果などの証拠を「受け入れざるを得ないから分かる、理解する」のが科学者であり、「ある種の偏見がなければ科学者にはなれない」、「自分の分かる言葉でしゃべらないと相手を説得できない」ことを力説され、「皆さんもサイエンストが何を考えているかを知ってほしい。」というお言葉で、約1時間のご講演を締めくくられました。
続いて澤昭裕先生が「地球温暖化問題国際交渉の表と裏」と題し、天高時代よく行かれた「永楽」という中華料理屋がまだ健在で、今日は久しぶりにそこで昼食をとられたこと、改築で新しい校舎になって以来始めて来校したというお話から、京都議定書とは何か、何が問題か、削減目標を決めたことで得をするのはどこかなど、新聞やTVではなかなかうかがうことができない各国の利害得失が渦巻く国際交渉について、通産省環境政策課長時代のご経験をもとに舞台裏をビビッドにご解説くださり、「環境問題」の新たな視点をご提示いただきました。
お二人ともお人柄がそのまま反映されているような懇切丁寧なご講演で、贅沢な知的喜びを与えていただいた2時間だったと思います。宮野先生、澤先生、本当にありがとうございました。

また、多目的ホールの椅子並べ、階段の清掃等に協力してくれた野球部・卓球部の諸君、顧問の政先生・仲谷先生にもこの場を借りてお礼を申し述べます。


<参加者の声>
  • 1年生の保護者です。私に分かるかなと思いましたが、一度聞いてみようと思って来ました。高度な内容でしたが、勉強になりました。政治的なお話もテレビ・新聞では分からないのでよかったです。
  • 日本のトップで仕事をしている人たちはすごいと思った。地球温暖化防止の裏側を知って、少し世界を知れたような気がする。温暖化の本当の防止は人間にはできないのかなあと思った。
  • ハイレベルで分からないこともあったが、話したいことのコアは聞き取れた。
  • 技術を裏付ける科学の大切さを再認識した。
  • 面白かったです。理系出身の私にとっては、宮野先生のお話は久しく使っていなかった脳の分野の活性化をしていただきましたし、民間の製造会社で省エネルギー・省資源にまじめに取り組んでいる今の私にとって澤先生のお話は本当にショッキングでおもしろく拝聴しました。
  • とてもおもしろく分かりやすかったです。お二人ともお話が上手で、また聞きたいと思いました。
  • 物理や外交的な環境問題など、難しい話だったのに短時間でとても分かりやすく講義してくださったので、大変興味深く面白いなと思いました。また、難しいと思っていたことも案外そんなもんかということもありました。逆に、一つのことにそんなに難しい論理や処置をしなければならないのかということもあって、何だか矛盾しているような印象もありました。とにかく勉強になりました。ありがとうございました。
  • 最初の方の数学の話はよく分かったけれど、物理の光の話はほとんど分かりませんでした。結論部分の物理の理想状態について、理想状態の話をしていれば意味がないといった生徒の話はとてもおもしろかったです。EUは環境的にはとても進んでいると思っていたが、実はすごくがめついとわかりました。日本外交は弱点が多すぎる。もしかすると日本は昔と同じで、先進国になった今でも中身はあまり成長していないかなと思いました。
  • 難しいところもあったけれど、いろいろなことを知ることができた。理科を奥深くまで勉強したらもっとおもしろいだろうなと思った。
  • 普段はなかなか聞くことができない貴重なお話を聞かせていただくことができました。特に二酸化炭素の削減が取り上げられている今、京都議定書の影の部分の実態についての話は興味深いものだった。そういう観点もあるのだと思った。
  • サイエンスには偏見というものが根本にあるというのは、画期的な解釈の仕方だと思った。
  • 政府の本音、EUの裏の顔、各国各省庁の腹黒さが分かってとてもおもしろかったです。やっぱり日本は抜けていてぼんやりして損をしているのだなあと思いました。家庭や運輸で二酸化炭素の排出量が増えているのは、私たちの生活でも実感できました。でも、明らかに無駄遣いとしてエネルギーの消費量が増えている分もあるので、そんな部分をほったらかしにして、全体を4割削減なんてできないと思います。例えば、イルミネーションや電灯のつけっぱなし、使い捨て商品ももっと政府が取り締まって、取り締まるだけではなく補助金を出してもらいたいと思います。そうでないと、誰も環境問題に取り組まないと思います。思ったことは、今も昔も外交の駆け引きは変わらないということです。